【経歴】
平成5年3月、東海大学医学部卒業
平成5年より3年間、胃腸科・一般外科を鍛練し、
平成8年より一般的な皮膚科診療をはじめ、内科・アレルギー科と患者様に接している。
今年は、昨年より10日ほど早く花粉の飛散が確認されたそうで、早い方だと1月末頃から、花粉症の症状が出ていたようです。
花粉症の方には、とても嫌な季節がやってきたわけですが、まだ花粉症ではない方でも、これから発症する可能性はあります。そもそも花粉症とは何か、そして、その対策についてご紹介していきます。
花粉症とは、スギやヒノキなどの植物の花粉が、鼻や目などの粘膜に接触することによって引き起こされ、くしゃみ、鼻水、鼻詰まり、目のかゆみなどのアレルギー症状を起こす炎症(鼻炎・結膜炎)の一つです。
花粉症は、水のようなサラサラした鼻水と目のかゆみが特徴的です。鼻風邪の場合も鼻水や鼻詰まりの症状がありますが、数日のうちに鼻水は粘性の高いものになります。それに対し、花粉症の鼻水の症状は、すすれないようなサラサラしたもので、花粉症の方はこれに悩まされますね。
花粉症は、春先に大量に飛散するスギの花粉が原因のものが多いですが、春はヒノキ科、ハンノキ、初夏から秋にかけてはイネ科、秋はブタクサ、ヨモギなど季節によって他の植物の花粉によるアレルギーを持つ方も多くいます。スギの少ない北海道ではスギ花粉症は少なく、イネ科やシラカバによる花粉症が多いなど、地域差もあります。
花粉症は、どのようなメカニズムで引き起こされるのかをご説明いたします。
このように花粉症の人は、症状が現れる以前にそのアレルギーの元(アレルゲン)になる花粉に接触しています。
IgE抗体が一定レベルまで肥満細胞に結合すると、発症の準備が整ったということになります。どの程度までIgE抗体が蓄積されると発症するかなどは個人差が大きいと考えられています。
花粉症になった方のほとんどは、「突然、花粉症になった」と思いがちですが、気づかないうちに体内では発症のための準備が着々と進んでいたということになります。一般に『水いっぱいのコップ』という喩えがよく用いられています。体内のコップに長期間かけて一定レベルの発症原因がたまり、それがあふれると突然に発症するというものです。
(あと1滴コップに溜まると溢れ出るという状態です。)
一度花粉症になると、原則的に花粉症の自然治癒は難しいです。これは、病原菌などに対する免疫と同様、「花粉は異物である」という情報が記憶されてしまうからです。
また花粉症になってしまったら、主治医などにご相談ください。初期療法(花粉が飛び始める2週間くらい前)が大事で、自分にあった対処法や治療法を選び、辛いシーズンを乗り切りましょう。同時に予防・対策も必要です。
花粉症になってしまっても、なるべく症状は軽く抑えたいものです。
ツラい症状を軽くするためには、花粉が身体に入ってこないような工夫をしましょう。
●身体に入る花粉を防ぐ
外出時にはマスクや眼鏡、帽子を着用することで身体に入る花粉を効果的に防ぐことができます。普通の眼鏡でも、目に入る花粉量を3分の1くらいまで減少できますが、花粉症用の眼鏡は4分の1くらいまで減少できるといわれます。また、マスクは最も効果的な花粉症予防グッズです。普通のマスクでも水で湿らせたガーゼを中にはさむことによって90%以上の花粉をシャットアウトできます。
●室内に入る花粉を防ぐ
衣服や髪、ペットなどについた花粉は、家に入る前にきちんと外ではたき落しましょう。
●帰宅後は洗顔やうがいを
帰宅後は、身体についた花粉を洗顔やうがいで、きちんと洗い流しましょう。
●室内での飛散を防ぐ
スギ花粉は湿気を含むと重くなって落下します。このため加湿器を利用し、室内の湿度を上げれば空中での浮遊を防ぐことができます。
●布団を外に干さない
外に布団を干してしまうと花粉がついてしまうので、布団乾燥機などを活用しましょう。また、どうしても外に干したい時は、花粉の飛散量が少ない午前中にしましょう。取り入れる際は花粉をはたいて、さらに布団の表面を掃除機で吸うと効果的です。
●掃除をこまめにおこなう
防いでいるつもりでも、室内にはかなり花粉が侵入しているので掃除をこまめにおこないましょう。床がフローリングであれば、毎日拭き掃除をおこなうととても効果的です。また、きれいな室内はダニアレルギー対策にもなります。
●ストレスを避け、十分な睡眠を
過労やストレスはアレルギー症状のあらわれるきっかけになったり、症状をさらに悪化させることもあります。不規則な生活を避け、十分な睡眠をとるように努めてください。またお酒やタバコも出来るだけ控え目にしてください。
このように誰でもなりうる花粉症は、対策をするだけでも症状を軽減させることは可能です。これから花粉の飛散量が増えてきますので、しっかりと対策をして気持ちの良い春を迎えましょう!